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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

その時間のしんとしたたのしさを語って居り、これもわかる。あと女では、原信子(歌うたい)、男で日夏耿之介氏、居炉裏、何だか仏壇みたいに見える傍の机。ちんまりすわっている顔、私も五十になってあせることのつまらなさがわかった云々。そうかと思うと室生犀星。庭でくらすことを書き、八十坪ほどの庭だが一人では守りをしかね、植木屋が入っていて草とり婆さんが、一本一本こまっかい草までぬいていて、雨が降ると障子をしめてお茶ばかりのむのですって。「一時間以上の雨は庭をきたなくするからである」ハッハッハと笑ってしまうわね。明日からは五月梅雨ですから、おお哀れ犀星よ、汝の茶腹をいかんせん、というところです。実におくめんなしに。一番ましなのは、高村光太郎で、いつが一番すきかたのしいかときかれると、きらいと云う時は別にないと気付いた云々。自然です。大体こういう質問に女のひとの方がすらりとあたりまえに答えているのは興味ふかいところです。偶然人によるのだろうけれども。

この頃、ちょ/\吉屋信子が随筆と名づけるものをかきますが、私は、面白く感じてみます。菊池寛の「話の屑籠」とやや似よった平俗性に立っているところ、ああいう通俗作家のセンスというものの共通なところわかって面白いが、又お信さんのは一段とザラ紙のセンスで、とめどなく大味とでもいう