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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

そちらへ何か来ましたか。

どうか呉々お大事に。私はこういう言葉、あなたには只一ことでいいのだと思ってがまんしているのですから、どうぞ御推察下さい。

六月十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

六月十三日  第五十一信

きょうはなかなかむす天気です。御気分はいかが?

きのうはいそがしい間、もうすこし待ってくれ待ってくれと云っていたお客日で、一日。

動坂の家に、小説の原稿をもって来ていた女のひと、そのひとは御存知ないが、作品おぼえていらっしゃるかしら。あの小山いと子さんがこのごろ、とにかく女流作家ということになって来て居ます。久しぶりで来て、いろいろの話。旦那さんはつとめのため福島の方へ行っている由。桜木町の家には女学校五年と一年の娘と三人ぐらし。一昨年からそういう生活。そして仕事を発表しはじめている。話の間で女のものをかく人はいやだ、男の方が親切と云うので、男は、てんで問題にしないで高をくくっているから親切みたいなんで、女は一応互角のように思うからなのだろうと話したことでした。アフガニスタンにおける日本の土木技師の生活をかこうというので大苦心です。