轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
これは薄藤色ラベンダアですね。これもやさしい色合いでしょう。
それにしても、私は自分の背の小さいのが不便です。人ごみの中に入って、前のひとの背中へ鼻の頭がぶつかってばかりいるのなんか平気だけれども、そこの横のしきりが私の背たけだと胸のところまであって、帯のところがちっとも見えないのですもの。これは本当に落胆です。色どりの中心は帯と帯どめですから、たとえば私がおしゃれしたって、目も心もない板ばっかりがくっついているのですから。
ああ、そう云えば、この間『日日』の「ウソ倶楽部」に出ていた話。
或日、上野の動物園で鳥どもが大さわぎしている。行って見ると、沢山のとりどもが集って、真中に一人の男をとりかこんでごうごうとさわいでいる。よく見たら、その男は伊藤永之介でありました。(「雁」だの「鶯」、とりの名づくし故)これは近来の傑作で、おなかの皮をよじりました。
ね、あなたはあなたのまるいついたてをどこへお立てになります? こんな風? それとも、こう? いっそのこと、邪魔っけな枠をみんなとってしまいましょうか。
そこで私は近く近くとなるにつれて段々小さく小さくなって行って、しまいに、私の黒子に消えこんで、それで安心して、笑って、キラキラ光る涙をこぼして、それでおしまい。