轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
私はあの本のあの箇所をよんだとき、科学性に堪えぬものに恥あれ、と痛感した次第でした。つまり、月の光を語らせるものに。現実は何と微妙でしょう。ときによっては「不思議な国のアリス」の物語だって、決して非科学的ではないというような意味で、ここにまで及んで書きわけられる筆というものは、学問ではありませんから。
さっき隆ちゃんから手紙来ました。この間送った小包のついた知らせです、出発のときもたせてやった防塵目ガネ、やはり大いにたすかるそうです。ひどい砂風の由。日中百三十度ぐらいだそうです。周南町(市の方らしい)出身の人が二人いるそうです。隆ちゃんもやはりめきめきはっきりした手紙かくようになってまいりますね。書きなれて、字も自分なりにまとまって来るからおもしろいものです。隆ちゃんのは、いつも本当に簡単。便箋一枚。でもふれるところへはみなふれて、気持がわかりますから、心持よい手紙です。すぐ返事をやりましょう、これのつづきに書いて。では又明日。きょうは暑いけれど昨日のようにむしませんね。よくおやすみ下さい。
六月二十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕