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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

ありがとう。「ポストを見ておいでよ」とマツに云って、これが来たので、思わず目玉ひとまわりさせ、髪をとかしかけのままよみました。

勿論私は、達ちゃんたちにやきもちはやきません。いろいろそうやって本をよんだ心持など書くとは、達ちゃんも結構です。あなたのいろいろの御親切もそうやって通じて、うれしいと思います。同じ一年或は二年が彼の一生にとって何とちがう内容でしょう。

藤の話、そうだったの! きょうの寄植というのはいかがでしょうね。きれいで、匂いも心持よければいいけれど。

「ミケルアンジェロ」、環境の説明の点、たしかにそういうところありました。しかし、新書の読者のためには謂わば、ああいう説明そのものさえ有益でしょうから。仮名づかいはやっぱり腑におちかねるところが、或正しいカンでもあるのね。この頃は一般に、大変漢字をすこし使う文章をかきます、皆が。数年前の方向とは逆の方からのはやりとして。或種の思想家は特にそれを特徴とさえしている。

起床、就床。これはもうやや(ケンソンして)癖になりかかりました。体の調子が、ちがうのですものね。早ね、早おきがずっとされていると。