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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

冷水まさつもよいでしょうが、先ずこの開け放しをやって見ようと思います。どうか一つ御指導下さい。蚊帖をつればあけてもたしかに安全ですね。延寿太夫という芸人は、喉のために冬でも絽の蚊帖を吊って居る由。

肥ったものは大して丈夫ではありませんでしょう? 私の常識も、その程度までは医学的(!)なのです。そして、私の肥ること考えると些か癪ね、生活条件が深く作用しているのだから。それはもとより瘠っぽちのたちではないけれども。

送る医書のこと承知いたしました。すぐその配りいたします。手紙の他の二冊も。

達ちゃんたちへ送るの本当にそうきめましょう。十七日なら月はじめの血相変え時期も一通り終りますから。この間は、珍しいおくりもの島田から頂きました。木綿手拭とタオル。それが、一旦北支まで行って、不要品整理で送りかえしてよこしたもの。あわれタオルも大した長途の旅をしたわけです。あなたの分に、大切にタンスに入って居ります。スフ、はあんまり溶けるので、夏のタオルは木綿のパーセントたかめる由。そして、けさ、荒物やに庭を掃くのに萩の箒をたのんだら、どうもスフになるらしくてありませんとのことです。