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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

という短篇に、そういう要素(家庭小説の)が実にくっきり出ています。本来的な問題をとびこえて、子は鎹という思想を支持していて。何か始めた、それも歴史的です。だが始めたことがどうなって行ったか、そして終りはどのような形に進展したか。この過程にこそ歴史の諸相剋が映されているのです、実に痛烈に映っている。ですから私は青鞜の時代を扱っても、その人々の今日の女としてのありようにふれずにはいられません。らいてうが大本教にこったということも一つの笑話ではないのですから。

ケイは十八歳のときイプセンの作品をよんだ由。後に影響をうけたのはミルやスペンサー、ラスキン、こういう方向に行っている、再び彼女の自由思想家である所以、ね。明日はどんな天気でしょう。お送りしたシャボンよく泡を立てて匂いすいこみつつおつかい下さい。それはどの花のかおりに近いでしょうか、私には騎士の昼の仮睡に蔭をつけている夏の糸杉の感じで買ったのですが。なおも、なおも、お大切に。

七月十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 本郷区林町二一中條方より(封書)〕

七月十一日  第六十二信

夕方五時ごろかえって来たら、「電報が来ていることよ」