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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
困った! 困った! 連発してしまいました。寸法が普通の夏ぶとんと云われているものよりずっと長いのです、だもんだから、きっと厚い方がいいと思ったのでしょう。うちわでパタパタやり乍ら散々困ったが、どうにも仕様がない。そこで、急に決心して、又着物着て西川へ行って、ちゃんとしたの注文しました。そのため三日おくれました。御免なさいね。でも、どっち道今年新しく作っておいてようございます。夏のふとんかわの麻地が来年はなくなりますから。せめて、サラリとした布団ぐらいきせて上げたいと思いますもの。
土曜日は四時ごろ家へかえりました。お父さんという人から挨拶されました。息子と父親というものとを非常に珍しい一種の感じで眺めました、若く見える父親なので。生活の日々のちがいは何とそういうところにも出るものでしょうね。息子のひとも、いろいろ固定した観念でものを見ているところもあるが、やっぱり本気になって、案外に脈絡をもって、要点にふれていたので、何となし心根を思いやられました。思いすぎのところも、その原因のよって来るところを考えれば、ね。一日、二日、三日目と次第に筋が通って来たのはようございました。