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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

その点での感想は、私のこの夏を通しての最もエッセンシアルな収穫であり教訓でした。自分と仕事とのいきさつにおいても真面目に反省する心持を動かされたし、そのことについてこれまで折にふれ云われて来たいくつもの言葉の血肉性が、尤もであるとか、正当であるとかいう以上の脈搏をうって、私のうちに流しこまれたものであることを感じ直したのでした。そういう感じ直しかたにしろ、私の低さを語っていると思いました。この間うち書いた手紙はきっとあなたとしてお読みになると、私の主観的な感動が舌たらずにかかれてある印象だったろうと思いますが、あれらは、そういう私の心持の状態からでした。去年の夏の頃、私の大掃除以前に云われたことが、まざまざと甦って来て、新たに真の価値を感じさせつつ、ね、そうだろう、という無言の優しさで迫りました。いろいろ涙こぼれた心持、分って下さるでしょう? めそめそではなかったのです。

私たちは普通の夫婦から見れば、何と僅かの言葉しか交し合わないでしょう。そうだけれども、その僅かの言葉が何と活きていることでしょう、ねえ。益※(二の字点、1-2-22)命のこもった言葉で語りたいと思います。