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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
けさ新聞を見ると落雷二十余ヵ所ですって。そうでしたろう。稲妻というものの凄じい美しさをあれだけ発揮すれば。床上浸水が六百余戸。床下三万余戸。旱バツの地方へも降ったのならよかったと思いますけれども、これは東京近傍だけだったのでしょうね。本当にあやういところをかえって来たと話し合いました。上野の山の中であれに会ってはテムペスト的風景すぎて、きっとこわかったでしょう、どんなにか。
本の話、二十九日に会ったとききいたらそうでしたって。自分が参考として持ってゆくとの話でした。大観堂さがしているそうですが、年カン、年表類、古いのはなかなかない由。きょう山屋へ行って見ましょう、そして、あったのだけでもお送りいたしましょうが、どんなことになるか、あればよいが。
お母さんのお手紙、あなたとしては又御感想がありますでしょうが、お母さんには真実と虚構の区別がいくらかつくだけもおよろこびだろうと思いました。百四十度は本当に息つまるようでしょう。
平静専一が効果をあらわして実にうれしゅうございます。こうして手紙下さる、原稿のようにすきすきでも、でも手紙下さるからは、きっと幾分ましだろうと思い、二重にうれしい。