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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
やがて市子が大杉を刺したのをクライマックスとして、新人会の時代が展開されて来て、文学は一つの〔約五字不明〕女の世界の中に於てもあけるわけです。
こういう歴史の見とおしで見ると、自分のありようも広〔約五字不明〕ら見晴らせてなかなかためになります。うぬぼれたいにもうぬぼれられませんものね。四十年代の、若い女がどっと芸術の分野にきおい立ったのは、大局から見ると一つのリアクシオンです、丁度国会開設がきまった後、青年が法科からどっと文科にうつった、紅葉なんかの時代、それにやや似ています、売文社の時代ですから。売文社で一脈を保とうとした時代だから。
自然主義が文芸の上に一つの道を建てたというより多くの流派への一つの門をひらいた形となったのも、日本としては独特の自然主義、つまりはロマンティシズムの変形であったようなところ、いろいろと面白く思われます。あの時代の天弦氏の評論も新しい味で見ました。では又ね。
八月七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
八月七日 第七十四信(これは九枚あります)
ひどい嵐があったせいか、今日の日ざしや風の音は秋が来たようですね。