轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
八月十八日夜 第七十九信
あれから代々木上原へゆきました。なかなかお見舞にはゆきにくいし、これから先は一層時間がないから。新宿へまわって中村屋でアイスクリームを買って下げて。上原の駅からすぐのところでした。
家は夏であけ放していて、大連の方に行っている娘さんが三人子供をつれて来ていたりして(おみまいに)賑やかですが落付かない。庭のところで浴衣がけの老人が南瓜の前に佇んでいられるので、まあお庭ですか、とびっくりしたら、ああよく来た、よく来たと御老人すっかりよろこび、そわそわして、部屋へ上ったら、あ、私の太陽が来た、これは私のエンジェルだ、となかなかレトリカルで、こういう歓迎の辞をのべ、且つ握手する礼儀を、あなたがなさらないのは、遺憾千万であると申さねばなりますまい。
お母さんはこの前お見かけしたよりやつれて居られるのに、却って何とも云えませんでした。この頃はなかなか御苦労様だそうでと申しました。そして、少しずつ一日に何回でもものをあがるように、お茶をのむところはスープをつめたくしておいて、という風にして滋養をおとりになるようにとよく注意いたしました。