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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
この間の手紙(この前の分)でかくのを忘れましたから一こと。おめにかかったとき、私がすこし熊坂長範めいたことを云ったら、あなたは、そんな風に云々と笑っていらした、覚えていらっしゃるでしょう。あのこと。予定なんかをはみ出すのは云わばあたり前みたいなことであろうと思って居ります。いつか、ユリが病気したりしたときのために、と云っていらした方ね。あれが畧この間書いてお送りした謄写代のトータルほど(すこしすくないが)あって、それを役立てるから大丈夫です。なんだ、そんな、とお思いになるようなことはしません。本末顛倒したようなことがあれば、勿論あなたは、そんなこと希望しておいでにならないのは十分十分わかりきっているのだから。もし、どう考えているか。小さいダイナモ、どうまわすつもりか、と思っていらっしゃるとわるいから。そして、もしかしたら、どこかに礼を云わなければならないような人がいるのではないかと、お思いになるといけないから。これで明瞭でいいでしょう? だから島田へ送った三倍はあるわけです。けれども、これから先の分の部数のことだけはやはり一考を要しましょうね、きっと。