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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

。

ミチスンの抗議にしろ、まだやはり婦人作家というものをごく一般性で云っている。日本の婦人作家がもしこの論争に加われば、彼女は、婦人作家の質にふれたでしょう。婦人作家の中にも lady novelist だっているのです、どこの国にも。例外は他にしては。

そして、どうも日本の作家が十分参加する特権がありそうです、というのはね、この批評家紫式部をあげて彼女の目が社会性をもっているとほめているのですから。でもクスクス笑える。どこの批評家も、余りひとの知らない人物をひっぱって来るのは癖だと思って。あちらで式部、こちらでジイドというのかと思うと大笑いね。

十月二十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

十月二十九日  第一〇一信

二十七日づけのお手紙をどうもありがとう。みみかきなんかこれまでもっていらっしゃらなかったでしょうか。もっていらしたのだが、これは又これとして御愛顧を蒙るわけでしょうか。どうかよろしくね。

バラはどんな色でしょう。バラ、フリージア、菊、マア色どりゆたかでいらっしゃるわけですね。

康ちゃん、本当にそうです、善良そうです。奥さんの澄子さんというひとが、なかなかじみでさっぱりしていて、小市民的な心持の範囲でながらくどくない気質ですから、多分にそれが加っている様です。