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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

自動車の方は技術として身につけておいて決してわるいことはないが、小母さんが危険をおそれるのと、ガソリン統制が新たに営業を許可しない方針となっていること、ガソリン払底で木炭自動車を購入しなければならず、それにも厖大な費用がかかるので、却って工場へ入って月給をいくらでもとる方が生活の不安が少いからその方にしようと思うという話です。工場の方へは履歴書を出した由。今、家賃が二十円程入るそうです。それで三人の食費はあるそうです。(何と東京とちがうでしょう!)それにいくらか月給をとることが出来れば嫁さんをとって生活も出来るから、とのことです。島田で雇った運転手が、下松で電信工夫をひっかけてしまい、下松の病院に入れてあるそうです。それやこれやで、小母さんもすっかりおじけついてしまったのでしょう。お母さんもまたそれの善後処理や何かさぞ一人でお働きでしょう。一月二十七日のことだそうです。早速お見舞のハガキ出しました。

富雄さん、猶よくあなたの御意見も伺いたいと云って居ります。

○用件を統一的に片づけるという点についての御注意。書いて終うと気持で片づいた気になる、というところは、おお痛いと思いつつ思わず笑い出しました。