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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
神々の朝というようなものよ。或はいつぞやの真白き朝という詩のような。そのような朝が、そちらにもあけることでしょう。呉々も呉々もお大事にね。
八月八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(伝光茂筆「浜松図屏風」の絵はがき)〕
ゆうべ(六日夜)のむしかたはひどうございました。夏になって初めて、横向きにねている上の方だけ発汗してそれがつめたく何とも云えずいやな気持の夜でした。苦しい晩でしたから、そちらもさぞと思われます。きょうもえらかったことね、夜は幾分ましですが、湿度90%ですからしのぎにくいのは無理もないことね。今年はこんなに湿度高いのに、開成山の方は干上って井戸の底が見えているそうです。
八月九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(伝光茂筆「浜松図屏風」の絵はがき)〕
八月九日、電報を、わざわざどうもありがとうございました。様子はっきりせず段々心配になっている手紙御覧になり打って下すったとありがたく拝見しました。お目にかかったあとで、きっとこのハガキはつくのでしょう。森長さんに五日ごろ電話したのでした。あの人のこと故その日はあなたの熱が下って、他の病気の発熱でないと判明したというようなことはちっとも分らず、只、会ったというので益※(二の字点、1-2-22)私の心配はかき立てられたのでした。