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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
体がつかれていらっしゃる時はあなたもどうぞ眼をお大切に。視力の弱るのは心持もいやなものよ。
結局どこへも行くさわぎしなくてつくづくようございました。いろいろ。汽車のこと考えただけでも。
国男と太郎は開成山で元気の由です。太郎は、二十日ほど暮して来て、その力で冬風邪もひかず過します。あすこは紫外線の多い高原風の気候ですが、それでも七十二三度の湿度です、珍しいことなのよ。それで雨は降らなくて野菜が心配というのですから、私のようなものによくわけがわかりません。
イリーンの『山と人間』ありました。今にお送りいたしましょう。シートンのあとはいかが? もうブランカのばかさ、いじらしさがわかったから、御用なし?
石鹸のこと御免なさい、そちらで都合つけて頂いたりして。しかし大いに助かります。全くナイものなのよ。只今これと一緒にシーツ、タオル、メタボリンお送りいたします。シーツもシャボンの仲間、ないものの一つです。きれたのを送りかえして下さいまし。ついで私のにして、私のをそちらにまわします。でも今に、浴衣のほぐしたのがシーツになることでしょう。
ああやって天井見て臥ていらして御退屈でしょう。