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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

10 一九四三年(昭和十八年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页

青空文庫

八月十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(江の島の写真絵はがき)〕

八月十三日、きょうはほんとに、ほんとに愕いて、安心したら骨が抜けたようになりました。お話のようにとりはからいます。ねまきお送りいたします、とりすてになってかまわない分です。

手拭も一本お送りします、スフ交りのですが。暑いところじっと臥ていらっしゃるのは御苦労さまですが、どうぞどうぞ大事にして、無理な動きかたをして出血したり絶対になさらないで下さい。近く又参ります。

八月十四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(鎌倉長谷観音の写真絵はがき)〕

ねまきのこと。いろいろひっぱり出して思案いたしましたが、つまるところこの間うち着て臥ていらしった白地に格子縞のねまき、あれは二分ほどスフで、あれを召して下さい。スフも三十点で、点がおしくて新しいのは、という意見です。あれならばマア辛棒してよいと思います、古くても縫い直してちゃんとなりますし、絹はねまきには着心地わるいし。お手数でしょうがどうぞそのように。

八月十七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(日光五重塔の絵はがき)〕

八月十七日、お話の薬、ともかく買うことにして、〓味とヨードと一つずつ買えました。