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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

10 一九四三年(昭和十八年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页

青空文庫

いよいよ落付いて、という方向へ気を向けさせるわけですから。ただ、貧乏は一層ひどくなりますから、どうぞあしからず。そちらの最低限は(今ぐらい)何とかやりくれましょうが。マア何とかやってゆけるでしょう。こちらの方はおそらくそれよりずっと少額でしょうから。当分は国男さんの世話になるわけです。それは追々こうして暮していると、わたしという人間も暮しかたもわかりすらりと行けそうですから御心配下さらないでようございます。(いずれそういうことについてはもうすこしプランが定ってから改めてお話しいたしましょう。目下のところは、昨今の事情に応じて、去年の秋から今までのような経済のやりかたをすっかり切りかえて、ずっとずっと目前には窮屈ながらいくらか永続性のあるやりくり法を考えようというわけで、国男顧問が相当肩を入れていてくれます。現在のままですと、来年夏ごろにすっからかんで、あとは目下の印度同然餓渇地獄となりますから。)そうなっては、うちの顧問先生にしろ自分がアプアプ故迚も手のうちようがないから、という次第。

あなたにはお気の毒さまですが、こうやって無いというところに落付いて、世帯くさいいろんなものをさらりとすてて、又女学生になったような気分で、仕事考えているのも、なかなか清爽なところがあります。