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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
わたしの旦那さまは、きっと随分上手な躾けてというわけでしょう。そして、大きないい音を立ててスパンクを与えるべき箇所と場合をよく御承知というわけでしょう。
風邪をお大切に、きのう防空待機の間にあなたの手袋を修繕し、それは全く愛国的手袋となりました。資材欠乏に全く従順という意味において。
十二月五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
十二月五日
二日づけのお手紙ありがとう。このところ連日爆撃という形ですね。あなたの丸薬は、笑ったように、正真正銘まがいなしの良薬にちがいありません、糖衣もなければ、大きさも、これは必要、というよりどころからだけ丸められているし。
ケロリ式の子の首ねっこつかまえて、その大きくて苦い丸薬をのませる仕事をさせて相すみません。でもね、あんまり丸薬が大きいと、のどを通すのに目玉を白黒させるから、先ずのむとやれと、ぼんやりしてしまうということも起るのよ(これは、又忽ちケロリになるということではありません)後世のひとがもしこういうあなたのお手紙をよむことでもあったら、ユリは何という気の毒な、だらしなしと思うでしょうね。駑馬の尻に鞭が鳴っているようで。