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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
もう二三日したらこういうことをはっきり申上げ、私がこれからあちらにゆくのは大体春夏から秋まではさけるよう申上げておきましょう。あなたからは、ユリコからこまかく申上るが、尤もな理由だから秋以後がよかろうと思うと申上げてお置き下さい。
それから、これは、私たちの家事的処置について。
ここは市内としては割合安全な方ですが、類焼はさけ難いものとして万事備えておくのが妥当です。去年の四月の十倍二十倍のものが降って来ることはたしからしいから。
(一) 書籍は金に代えることの出来ないものですが、ともかく動産保険にかけ、その幾割かをかえす空襲保険をかけました。島田へお送りした四倍ほどの額です。
(二) もし最悪の場合、私がふっとんでしまったら大変困りますから、そのためには四月一日から受付る戦時生命傷害保険に入ります。
これはディテールまだわからず、手続きは全く簡単です。最高五千円までを恐らく非常に条件つきで小切るのではないかと思います。年齢、職業、男女別等。しかし私はいずれにしろ自分の条件の最高までをかけておきましょう。これは動産に対する保険とちがい、生命保険にあらかじめ入っていないでよいから私にも出来ようというわけです。