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ばくおう
獏鸚
海野 十三
「新青年」博文館、1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,493 字 · 33 页
「うん。それから……」
「それから?……獏は性怯にして、深林に孤棲し、夜間出でて草木の芽などを食す。いやまだ食うものがある。人間が夜見る夢を食うことを忘れちゃいけない。産地は馬来地方……」
「もう沢山だ」と私は悲鳴をあげた。
「では鸚鵡は鳥類の杜鵑目に属し、鸚鵡科である。鸚鵡と呼ぶ名の鳥はいないけれど、その種類はセキセイインコ、カルカヤインコ、サトウチョウ、オオキボウシインコ、アオボウシインコ、コンゴウインコ、オカメインコ、キバタン、コバタン、オオバタン、モモイロインコなどがある。この中でよく人語を解し、物真似をするのはオオキボウシインコ、アオボウシインコ、コバタン、オオバタン、モモイロインコである。おのおの形態を比較するに、まずセキセイインコについて云えば、頭及び翕は黄色で……」
「わ、判ったよ。君の動物学についての造詣は百二十点と認める――」
私は耳を抑えて立ち上った。私には鸚鵡の種類などを暗記する趣味はない。
「なアに、まだ三十五点くらいしか喋りはしないのに……」
「もう沢山だ。……しかし動物学の造詣で探偵学の試験は通らない。獏といえば夢を喰うことと鸚鵡といえば人語を真似ることだけ知っていれば、充分だよ」