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ばくおう

獏鸚

海野 十三

「新青年」博文館、1935(昭和10)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,493 字 · 33 页

青空文庫

「なんだね、これは?」

と私はその小さい紙片を受取って、仔細に表と裏とを調べた。裏は白かったが、表の方には、次のような切れぎれの文字が認められてあった。

……0042……奇蹟的幸運により……獏鸚……

どうやらこれは、手紙かなにかの一端をひきちぎった断片らしかった。なるほど「獏鸚」という二字が見えるが、何のことだか見当がつかない。

「一体これは何所で手に入れたのかネ」

「そんなことを訊かれては、まるで事件を説明してやるために君を引張りあげたようなものじゃないか」

と帆村は皮肉を云ったが、でも私が入ってきたときよりもずっと朗かさを加えたのだった。彼は今、話し相手が欲しくてたまらないのだ。

「これは或る密書の一部分なんだよ」と帆村は遠いところを見つめるような眼をして云った。

「そこには、たった三つの違った字句しか発見できない。昨夜一と晩考えつづけて、はじめの二つの字句は、まず意味を察することができたのだ」

密書を解いたと聞くと、私は急に興味を覚えた。

「まず数字の0042だが、これをよく見ると、この四桁の数字の前後が切れているところから見てまだ前後に他の数字があるかも知れないと想像できるのだ。