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たまむしのおばさん
玉虫のおばさん
小川 未明
「せうがく三年生」1936(昭和11)年11月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,466 字 · 5 页
」と、誠さんは、その木の下に立って見上げました。そこには、かぶと虫のほかに、さいかちがいたし、また大きなありが動いていたし、しかもすこしはなれたところに、姉さんの欲しがっていた玉虫がとまっていて、それらを護衛するように、すずめばちが、怖ろしい目をして、あたりをきょろきょろながめていたのです。年老って、腰の曲がったかしわの木は、これらの虫たちに皮を傷つけられて、甘い液を吸われているのを苦痛に感ずるのでありましょうが、どうすることもできずにいました。誠さんは、棒でかぶと虫と玉虫を下へ落とすと、あわてて口笛を吹きながら、体をすくめて、飛んできたはちの攻撃を避けようとしました。やがて、はちはまた木へもどりました。そこで、誠さんは、二匹の虫を拾うと大急ぎで家へ帰ってきました。
「姉さん、玉虫を捕まえてきたよ。僕、揮発油をつけて、殺してやろうか?」と、誠さんは、いいました。これをきくと、春子さんは、
「待っていらっしゃい。」と、いって、急いで、出てきました。
「きれいな虫なのね、久代さんところで見たのより、よっぽど美しいわ。」
「それは、こっちが生きているからだよ。