轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

げんだいのさじゅつ

現代の詐術

坂口 安吾

「個性 第一巻第一号」思索社、1947(昭和22)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,471 字 · 25 页

青空文庫

善いことをした人でも、会社員以上は何々氏、運転手なら何々君、とある。

そこで正義派のインテリ先生がフンガイに及んで、氏と君の区別は何ぞや、と怒る。悪漢に氏とは何ぞや、悪漢はヨビステにしろ、代議士でもヨビステにしろ、善良な市民はみんな氏をつけろ。

なぜ犯罪者をヨビステにしなければならぬか。犯罪は憎むべきである。然し、罪を犯さぬ人間がおるか。隣組座もパンパン座も神の座席に於ては同じ罪人ではないのか。ヤミの米を食うことも罪ではないか。万人がヤミの米を食う、そうしなければ生きられない、そうしなければ生きられないなら罪を犯してもいゝか、それは罪ではないのか。

あらゆる人間というものが、あらゆる罪人を自分の心に持っているものだ。小平も樋口も我々の心に棲んでいる。時にはいさゝか突拍子もない事件がある。ある母親がママ子を殺し、実子と共に、ママ子の肉を三日にわたって煮て食ったという、こんな犯罪はアタシたちはやらないね、こんな鬼はアタシの中に住んでいませんよ。然し貴嬢の仰有るのは犯罪の問題じゃない。誰でも人間の肉が食いたいと思うわけじゃない。食用蛙の嫌いな者はどうしても食いたくない。