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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

「大泥棒はないでしょう。イントク物資をテキハツしたにすぎんですな」

「うまいことを、やりやがったな。イマイマしい野郎じゃないか」

「ハッハッハ。やくべからず。駅まで自動車で送ってあげるから、早いとこ、東京へ帰っておくれ。どうも箱根においとくと、あぶない」

二人を汽車へ乗っけてしまった。

才蔵は車中でしばらく黙々、考えこんでいたが、

「ツルちゃん」

ツとよりそって、

「一しょに箱根へ戻らないか。一カン盗んで帰ろうよ。これから自動車で急行するんだ」

「いけないわ。そんなこと」

「バカだなア。キミは。土の中に埋められている阿片は誰にも所有権がないのさ。それを持って帰って所持している者に所有権が生じるだけさ」

「あなた一人で掘りだしてらッしゃい」

「それは掘りだすのはボク一人だけでやるさ。ツルちゃんは旅館で待っといで。ね。ボクはたちまち大ブルジョアだぜ。だから、ツルちゃん。ボクと結婚してくれよ」

ツル子は呆れた。そうだろう。阿片がニセモノであることを心得ているからである。

だまして結婚を申しこむ才蔵の心根がにくらしい。かと云って、嘘つきなさい、ニセの阿片と承知の上で、とキメつけると失敗だから、セイカタンデンに力をこめて、にらみつけて、