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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

君は又、ソッとここへ戻っていたまえ。分ったね」

こう言いふくめて、安心してサルトルの車にのる。

さすがの半平も、ツル子がサルトルと盟約をむすんだ同志とは気がつかない。

自動車は早川の渓流に沿って、箱根の山をのぼる。

いよいよ、底倉。当然の順路。べつに怪しむ者もない。

自動車は道を走ると思いのほか、ギイと曲って、立派な門内へはいってしまった。

門の左右にたくさんの人物が隠れていて、自動車が門内へはいると、サッと門を閉じてしまう。ツル子の車は、閉めだしをくって、中へは、はいることができない。

自動車は玄関前へスルスルととまった。

玄関かちサッと現れた一群の人物、門をしめて駈けつけた一群の人物、十重二十重に車をとりかこむ。みんな白衣をきている。

これぞ、マニ教神殿!

サルトルは自動車を降りて、白衣の隊長、内務大臣に挨拶。

「どうも、お手数をおかけ致しまして、ありがたきシアワセに存じます。天草商事のお客様方をお連れ致してございます」

「まことに御苦労であった」

サルトルは、車中の一同に、

「皆さん。目的地へ到着いたしましたから、なにとぞ、下車ねがいあげます」

天草次郎は目を怒らせて、