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げんだいにんじゅつでん
現代忍術伝
「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页
このトラックに幔幕をはり、神具はじめ家財一切つめこみ、信徒が分乗し、合唱奏楽高らかに東海道を走って、東京へのりこむ。
天草商事へ横づけにすると、直ちに社長室を神殿にかざりなして、奏楽合唱礼拝をはじめる。
社員一同を廊下にひれ伏させて、事業一切神の手にうつった旨を申しきかせ、社員は同時に信徒たり、下僕たる旨をも申し渡す。
ズラリとひれ伏した社員の頭上を幣束が風を切って走り、ミコの鈴が駈け去り駈け寄り、合唱がねり歩く。
三羽烏、いずれも蒼ざめはてて、目のみ光り、狂人以上にただならぬ様子だから、社員もゾッとした。
「なア、オイ。ウチの社長のような、ガッチリズムの冷血動物がマニ教になったかねえ。わが社をそッくり奉納したには困ったな。我々は神の下僕だとよ」
「笑ってちゃ、いけないよ。神の下僕、信徒ときたからには、月給は払わないぜ」
「なるほど」
「雲隠の奴に百万円だまされて、キミもたしか、貯金をおろしたようだが」
「ワッ。いけねえ。オイ、ふざけるな。かえせ」
「オレに返せたって、ムリだよ」
「ウーム」
一同、目を白黒させている。
とっぷり日の暮れるまで、社員はマニ妙光の合唱をやらされる。