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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

これを読むと、マニ教と天草商事のツナガリの第一歩がわかる。この記事には、神殿の行事から、神様の写真まで入れてあるから疑う余地がない。

美女は云うまでもなくツル子で、間宮坊介執筆のマニ教撮影苦心談ものっている。

マニ教東京遷座由来記を心ゆくまで記述している匿名人は、巷談社々長、サルトル・サスケであった。平山ノブ子の潜入記も面白い。彼女もすでに巷談社員であった。

正宗菊松の潜入監禁手記に至っては、涙なくして読み得ないものだ。薄給の教師が妻子すらも養い得ず、意を決して天草商事の入社試験をうけ、その翌日には、モーニングをきせられ、有無を云わさず箱根へ連れだされて、監禁をうけ、一時は狂気に至るテンマツ、天人ともに泣かしむる、とは、この如き悲惨、誇りなき人生でなくて何であろう。

この手記こそは、単なる実話の埒を越え、百万人の心をとらえた読物であったが、実は正宗菊松の本当の手記ではない。サルトルとツル子の合作なのである。なぜなら、菊松は、病院に伏して、昏々と眠っていたからである。

それから、又、一と月ほどすぎた。

正宗菊松はふと目を覚した。

目にうつるものが、まったく記憶にないのだ。