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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

「アタシが使いこなしまして、石川組の人間に仕立てやすから、今後よろしゅうおたのみします。雲さんや。社長があゝ云って下さるのも、オヌシに目をかけて下さるからだよ。お礼を申しあげて、仕事に精をだしな」

そこで才蔵は長範から盃をいたゞいて石川組の人間ということになった。

「ではアタシは才蔵をつれて天草商事へ行ってきやす。ちょッと自動車をお借り致しやす」

と、二人は社長の車で東京をさして出発した。

その九 サルトル雄弁をふるうこと

天草商事の社長室へ通される。チンピラ重役三人組の前へすゝみでたサルトルは、まずニコヤカにモミ手をしながら、

「エエ、昨日はたいへん失礼。本日はまた、うるわしいゴキゲンで何よりでざんす。つきましては、一言お詫びを申上げなければなりませんが、実は、雲さんを無断でお借り致しました一件で。これにつきましては深い事情もありますが、おいおいと話のうちに説明を加えることに致しまして、お許しも得ず東京へ連れだしましたことを幾重にもお詫び申上げやす」

相手がいかほど仏頂ヅラをしかめていても、常にサルトルは余念もなくニコヤカなものである。

「材木の話でざんすが、社長から話のありましたように、進駐軍向けとか、河川風水害防止愛国工事とか唄いやしてタダのようにまきあげて運びだしてやすから、昨日のお値段の半分に値切ら