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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

「これは恐れいりました。アタクシはシガないヤミ屋で、ギャングなどというレッキとしたものではございません」

「ウソついちゃ、いや。白状なさいな。私、そんな人、好きなのよ」

「これは、どうも、お目鏡にはずれまして、恐縮の至りです」

「そんなんじゃ、ダメよ。ウチの社長や専務たち、機関銃ぐらい忍ばせてくわよ。いゝんですか。サルトルさん」

「それは困りましたな。アタクシはもう根ッからの平和主義者で」

「ウソおっしゃい!」

「なぜでしょう」

「顔色ひとつ変らないじゃありませんか。雲隠さんぐらいのチンピラなら、機関銃ときいて、血相変えて跳び上るにきまってるわ。あなたは相当の曲者よ」

「それはまア機関銃にもいろいろとありまして、あなたのお言葉に現れた機関銃でしたら、雀も落ちませんし、アタクシも顔色を変えません」

「あなたは分って下さらないのね。ウチの社長や重役は、それはとても悪者なのよ。密林で取引してごらんなさい。殺されるのはサルトルさん、あなたよ」

「殺されるのは、いけませんな。これはどうも、こまったな」

「それごらんなさい。怖しいでしょう。ですから、本当のことを、おっしゃいな。サルトルさんも、大方、だますツモリでいらしたんでしょう。