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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

もののことだ。

つまりこれは口々に皇室中心主義や愛国主義をとなえて、好い気な真似をしてあるく例のあの連中自身を指しているに他ならない。尤もその方が本当の暴力団だというなら、それも一理あるが、併しそれならば、少なくとも警視庁で手入れをやるような、いわゆる暴力団とは別の、もっと国家的見地から見て本質的な、暴力団だといわねばならぬ。

それはさておき、天皇機関説を不法と認めたような口吻をもらしている政府当局者の一人の口から、そして検事局をして美濃部博士を召喚取調べを行なわせた司法大臣の口から、こういう言葉を聞くことは、やや意外であるかも知れない。

法相は美濃部説を不法と認定しながら、他方において反美濃部運動の妄動に掣肘を加えようと欲する。だが無論これは司法権の公正の名にかけて、当然すぎるほど当然なことだ。ところがこの当然なことが不思議に思われたほど、最近の日本の風潮は変態で複雑なのである。だから美濃部説が、政府当局によって不法と認定されたということも、どこまで本気にとっていいのだか簡単には判じ兼ねる点を多々残していた。少なくとも政府は、そんなことよりももっと大切な実際問題を有っているのだ。