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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

第一に皇室中心主義的愛国主義的な広義の暴力団の抑圧が却ってそれよりも急務だったし、それから内閣審議会という大問題もあったのである。

しかし反美濃部主義がお座なりであったらしいことは、単に内閣当事者においてばかりではない。反美濃部主義の黒幕の一人と見做される平沼男は、反美濃部主義の「政治的」(!)目標の一つであった一木枢相攻撃が多少実効を奏しかけたのを見て、どうやらその反美濃部主義を緩和することに「政治的」(!)興味を覚えて来たのではないか、と伝えられた。

というのは一木男が枢府議長をやめれば、次の枢相の椅子はウマク行けば自分に来るし、やがてはそれを機会にして平沼内閣さえ不可能ではないかも知れぬ、ということになるのだが、それには一方では国家の最奥深所における一定の意向と、他方では世間大衆の意向とに順応して行くことが、軍部や何かを頼りにするよりも賢明な近道なのだ。処がこの最奥深所における意向も世間大衆の意向も、あまり反美濃部主義に興味がなかったのである。そこで男においては反美濃部のレッテルは政治的価値がずっと小さくならざるを得なくなって来たのだ、というのである。