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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页
そういうことに気のつかなかったのは、この短日月の間に少しも進歩をしなかった政友会総裁の頭脳だけだったようだ。尤も故犬養総裁に就いての恩讐などはもう卒業して、今ではファシズムに乗り換えたというなら、それも又一つの考え方で、その限り政友会も進歩したのだと思ってもいいが、併し夫は決して国体明徴の亀鑑たる赤穂義士などの採った道ではない。――新官僚の機関としての内閣審議会には反対で、而も右翼団体の明徴運動の驥尾に付するということは、一体どうした手違いなのか。併し挙国一致の好きな政友会は、この挙国一致の国体明徴運動にスッカリ身も魂も打ち込んで了っていたらしい。当時の内閣が内審を唯一の頼みにしていると同じに、政友会は今や国体明徴運動を唯一の頼みの綱にし始めた。例えば三五年六月の初めには政友会代表の総務二人と幹事長とが首相を訪問して云っている。
「第六十七議会に於ける国体明徴の決議の本旨は機関説の排撃にあり、爾来二カ月政府は個々の処置をとれるも、本問題の根本要点に触れず、これを以て国民その道に迷う。……我党はこの際政府が機関説排撃の方針を宣明し以て院議に副ふべきを要する」