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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

だがそれはそれとして、ここに兵農両全主義という第三の農村対策(?)が出て来たことに注目しなければならぬ。

『東京朝日新聞』の論説欄(十六日)によると、近年中央の純行政費は軍事費激増に逆比例して目立って減少した。昭和七年度には七億一千万円だったものが、昭和九年には六億一千万円、十年には遂に五億二千万円に減らされている。この中央行政費の無理が地方財政に響いて、行政費の地方財政への転嫁となり、今日の地方財政の悪化を暴露するに至った、というのである。昭和九年度地方歳入見積り額につき、十一府県で総額七百五十五万円、二十市で総額一千二百六十七万円、の欠損額を生じるに至った。この傾向は町村に行けば一層著しいだろうと見られている。

そこで政府は当分地方債を抑止する方針を取ることに決し、地方内務省首脳部は内相を初めとしてお得意の「地方行脚」を行なうことに決めた。尤も原因が地方自身にあるのではなくて中央にあるのだとしたら、わざわざ地方へ出向くことは見当違いかも知れないのだが。――ところでこういった事情の眼の前に、政友会の兵農両全主義なる農村対策が飛び出して来たのである。