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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

これがその名案たるゆえんでもある。

東北振興のためのこの答申案は三大計画を挙げている。第一は東北興業株式会社設立の件であり、第二は東北振興電力株式会社設立の件であり、第三は金融施設整備改善に関する件である。

この第三のものは極めて抽象的な内容で、「資金の円滑なる流通および金利の低下を計り産業の振興に資すること最も緊要なりと認む」という至極尤もなものだから、これだけでは問題にならぬ。もっと積極的で進取の気象を作興するに適したものは、二つの「特殊の株式会社」を設立して、一儲けしながら同時に東北の人民どもを救済してやろうというところの、前の二件である。

興業会社の方は、肥料工業、その他電気化学工業、水産業、鉱業の資源、水面埋立事業、農村工業、その他東北振興に関する諸事業の経営・投資・助成・をなすを事業の目的とするのだそうである。――だが実は事業の目的は必ずしも東北振興にあるのではない。というのは、この特別な株式会社は、如何に特別でも矢張り配当年六分は間違いのないところだということになっているからである。万一、年六分の配当が出来なかったら、政府はわれわれから取った所得税其の他の内から金を出して、少なくとも払込金額の六分に届くだけの配当保証を十五年間でも二十五年間でも引き受ける、というのである。