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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页
こういう統制主義の評判の良さの裏には、全体主義なる常識通念が控えているのである。だから統制主義はもはや決して一経済政策上の問題ではなくて、一種の社会倫理の問題となっているのである。そこには統制なるものの実体と統制なる観念との、社会的有効さがあるのだ。それを説明しよう。
六十七議会の政府提出による農業関係の統制法案は、米穀自治管理法案、米穀統制法案中改正法律案、籾貯蔵助成法案、産繭処理統制法案、蚕糸業法中改正法律案、肥料業統制法案、その他であったが、いずれも審議未了に終ったことは人々が注目する通りである。
たとえば米穀自治管理法案については、米販売業者の猛烈な反対運動があったので、それが議会に反映したのだともいっていえないことはあるまいが、併し他方においてはこの法案には全国農村産業組合の熱烈な支持があったことも同様に事実だ。産繭処理統制法案についても、産業組合乃至全国養蚕連合会の促進運動が行なわれたことを見落してはならぬ。にも拘らずいずれの法案も握りつぶされてしまったのである。
ところでこの種の農業関係統制法案が、農林省の産業組合助長の方針と直接関係あることはいうまでもない。