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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

しかもここで調査審議された政府案は、エッキスパートの研究報告として、素人の集りである議会に単に諮問され賛成を押しつけるに過ぎないような形になるから、これは議会政治の実質的な虚脱機関に他ならず、従ってここに新官僚の参謀本部が出来るわけだ。

ところが政党政治家乃至ブルジョアジーが、口に立憲主義と政党政治との神聖を唱えながら、この議会政治の実質上の虚脱の企てに対して、少しも本質的な反対をしなかったことは、注目に値いするのである。なるほど政友会などは、これを政府が弱体をつくろうために挙国一致の外見を与える口実に過ぎぬと見て、絶対反対したりまた少し反対して見たり、または内々審議会入りをしたがったりしたらしいが、それは決してこの審議会制度という点に対する反対からではない。

ではなぜ彼等政党人がこの議会統制に対して、農業統制諸法案に対したように、消極的にさえ抵抗しなかったかというと、それは全く、幸いにしてそれが統制という名をもって呼ばれていないからなのである。ここで彼等が危惧するただ一つのことは議会統制という名目なのである。統制なるものが一般に如何に評判がよくても、政党屋である彼等にとっては議会統制という言葉に限って味方にしては都合が悪いのだ。