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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页
産業資本家は経済面において、統制というかの社会倫理に食ってかかることによって、初めて統制主義の実果を収めることが出来た、政治家は政治面において、幸にしてこの社会倫理に食ってかかる必要なしに、一種のファシズムに参画することが出来る。
最後にいわゆる文化統制であるが、ここでは統制主義の名目と実質とが、甚だ都合よく一致するのである。正しい国語のための国語統制(「国語審議会」)や邪教取締りのための宗教統制(統一的な「宗教法」)に苦情のあろうはずがないように、国民精神と人格の製造のための青年学校による教育統制(文政審議会で決った)や、忠良なる思想のための言論統制と学術統制(改正出版法・治安維持法改正計画等)、国家に有益な文芸製造のための文芸統制(日本文化院の計画其の他)などに、ブルジョアジー・軍部・新官僚・の誰が一体反対するだろうか。
政治統制においてはいわば観念的にいがみ合い、さらに経済統制には実質的にいがみ合わねばならぬように見えたこの一連の為政者達は、文化統制のこととなると、急に互いの肩をたたいて相和するのだ。経済面や政治面における自由主義者はここまで来ると忽然として反自由主義者に、つまりファシストに、なるのである。