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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

世間では之に勝手なものを投げ入れることが出来た。マルクス主義に反対するからといって、これにファシズムの萌芽を見、ファシズムに反対し得るといって、これに本来の進歩性への約束を見た。

では行動主義は何であったか。夫はどうもさし当り文学上から見た意欲の積極性を主張することが精々であって、まだ社会的認識や政治的見解への文化的進出にまでは行かなかったらしい。フランスでは文化擁護の世界作家大会が開かれ、代表的文学者が社会主義文化の擁護に就いて獅子吼しているのだが。――行動主義もそこまで行かなければ、本物にはなれまい。序でだが、アンドレ・ジードのコンミュニズムへの転向などを、何かつけ足しのように考えている者は誰か。

インテリゲンチャ問題に就いては今の処問題は片づいたようだ。インテリゲンチャが現代に処してみずからに課する積極的な方針は、つまり自分に特有な知能を如何に進歩的に役立てるかということである。

自由主義論が文学という局部に於て脱線したものが偶然論である。或いは寧ろ「偶然文学」主義乃至偶然主義である。この偶然論は必然万能主義(夫がマルクス主義的唯物論だということだ!)に対する、反マルクス主義的な批判を基調としているのだが、併し偶然の客観的な存在を認めないような唯物論は機械論のことで、マルクス主義的唯物論とは正反対