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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页
それが文部大臣の議会における答弁用に出来上ったものにしろ、或いは〔国民精神文化研究〕所の学生が従来の学校なみにストライキや教官のボイコットをしたにしろ、夫は問題ではない。
とに角五月になって、いまだ決まらなかった所長もフトした建部問題なるものをキッカケにして決定するし、研究所の建物は出来上るし、監督当局たる文部省学生部も思想局に昇格した。そこで府や市も、文部省には敗けてはいられないので、東京府では「思想対策委員会」を作って赤化教員の撲滅方法の研究をすることになった。これはしかし、東京市の例の教育疑獄事件に狼狽した東京府の学務当局が、相手を取り違えたのでは決してないので、実は国民精神文化研究所の出店(国民精神文化講習所)を作ろうというのである。現在文部省直属のこの思想警察を備えた府県は沢山出来ていると聞いている。
さらに東京市では思想取締りの専任視学を置くことにした。贈収賄を取締る視学というようなものは、今日では概念上矛盾しているから、その代りにこれを置いたわけで、どっちも「教育浄化」になるのだから、それでいいというわけである。
臨時議会の開催と岡田内閣の苦境とを見越して政党は急に党の政治意見を相談し合っていたが、ここでもまた思想対策は米穀対策と並ぶ大問題であるらしい。