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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页
国民はこうした種類の支配者のもっともらしい用語を、揶揄的に高をくくる練習をする必要があるだろう。
併し言葉や観念は何でもよい。対策を変にいい表わそうと下手にいい表わそうと、それは品格の問題ではあっても、実力の問題ではない。広田内閣のいわゆる「自由主義」という観念が変でも何でもよい。問題はこの内閣が何をいいたがっていたか、である。――自由主義が悪い、というのは、実は自由主義が良いとか悪いとかいうこととは無関係だったのだ。
実は「自由」そのものが悪いということだった。「自由」を抑圧するぞ、ということだったのである。尤も良し悪しが問題になるところの「自由」なるものは、経済的な自由よりも寧ろ政治的自由のことでなければならぬ。
政治的自由を〔抑圧〕するには、予め自由が悪いという掛声をかけてからでないと、一寸都合が悪いだろう。
そこでドサクサ紛れにまず気合いをかけた。これが「自由主義」の排撃の声明に他ならなかった。
もっとも広田首相が排撃しようとした「自由主義」(即ち政治的自由)は、決して議会政治のことではなかったのである。この点、広田首相につめよった某ブルジョア議員の心配は杞憂に他ならない。