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げんだいかがくきょういくろん

現代科学教育論

戸坂 潤

「科学ペン」1937(昭和12)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,100 字 · 18 页

青空文庫

教科書は師範教育的には決して本当の編纂を許さないもので、之は専門の大家の老練な作品でなければならぬ。処でそういう教科書は決して実際に多くはない。大抵の教科書は教科書的マンネリズムの惰性的所産でしかない。そこから、教科書は一般に学術的に無価値なものだというような俗見も発生する。――之は学術研究と学術教育とが別々にバラバラに考えられていることに他ならぬ。而も之は却って、学術の専門教育と普通教育とをダラしなく混合させることから来たのであり、教養乃至素養としての科学教育の独立の意義を充分に認め得ないということから来るのであった。科学的素養の教育と科学的専門教育とは、あくまで区別されねばならぬ。科学と云うものの本性上之が必要なのだ。それが区別されることによって、却って初めて両者の真に生きた連関、お互いに欠くことの出来ない相互条件が見出されるだろう。

そうしない限り、例えば専門学者が大衆的な教科書をかくことを潔しとしなかったり、科学を教材としか心得ていない先生達が我とばかりに教科書を編集したり、それから素人はどこへ行っても科学はムヅかしいものだというような無責任な常識に安住したりする、こうした日本文化全般に於ける科学的低能性を、是正する方針を立てることは出来まい。