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せいかつのなかにあるびについて
生活のなかにある美について
宮本 百合子
「アトリエ」1941(昭和16)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,372 字 · 9 页
生活の中にあるものの美しさは、それが巨大な機械類であると、小さい日用品の類であるとにかかわらず、そのものが生きて働く目的を十分示していて、その充実感が美に通じているべき筈のものだろうと思う。
一つの御飯茶碗がここにあるならば、それは色と云い形といい、いかにもそこへ御飯をよそって食べて見たいと感じさせる。そういう直接で溌溂としたものでありたい。それを作ったひと一人だけの趣向だけが強調されているものは、道具類だと猶更重苦しいと思う。
この意味で、美しいもの、という観念が私たちの生活のなかでもっともっと贅肉のとれたものとならなければならないだろう。ものの美しさは、生活の裡で時、場合、人にかかわりあって来るその流動において感じられ、とらえられるもので、なければなるまい。何が美しいかということに関する固定した知識が伝統からもたらされるとすれば、どんな時どういう風に美しくものを使ってゆくかという感覚こそ、今日の中から新しい美をつくり出してゆく潜在力となるものだと思う。
日本の衣服についての再吟味が初まって幾何かの時が経っているが、婦人の衣服の改良案などが一つも訴えて来るものをもっていないのは、やはり改良して行こうとする心の動機に、弾力がないからだと思う。