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せいかつのみちより
生活の道より
宮本 百合子
「知識」1934(昭和9)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,528 字 · 5 页
た。
ローザについては又別のことも思い出された。片山潜がアムステルダムの大会で演説をしたとき、ドイツ語の通訳はクララ・ツェトキンがやり、フランス語へはローザが翻訳して大衆に伝えたという話をきいたことがあった。
片山潜は、ローザの熱情あふれた才能につよく心をひかれた様子で、うむ、あれは傑物だった。葡萄酒がすきで、その大会なんかの時も朝から一杯やって、談論風発という勢だった。クララの方はもっと常識的な女だね。老人は、自分で煮た苺のジャムを食べさせながらそのようなことをも話した。
ローザの手紙はこのほか、カウツキーの妻にやったのを纏めたのが翻訳出版されているのである。しかしこの手紙のところどころ読んで、私が最も強く精神を引立てられたのはローザと自分との間にある歴史の発展の大さということについての実感であった。
獄中におけるローザの手紙は、その中に吐露されている自然の鳥や花に対する優しい情緒や憧憬やに充ちている点で有名である。そのような環境の中にあって公然と書き得る手紙の内容は略きまったものであることは云えるのだが、私はあのように不屈であり、高い気概に満ちていた尊敬すべきローザでさえも、当時のまだ方向が決定しなかったドイツの運動の段階においてはさけがたいものであったろう或る種の制約をうけていたことを、手紙の多く