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いなかふうなヒューモレスク

田舎風なヒューモレスク

宮本 百合子

「写真報知」1925(大正14)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,790 字 · 16 页

青空文庫

勘助は、あわてて荷を出そうとどよめいているのだと思った。がよく見ると、何事だろう! 勇吉夫婦は酔っ払った上互に狂人のように悪態をつき合ながら、炉の粗朶火をふり廻して、亭主がここへ火をつけると、女房もそっちに火をつける。火をつけながら、泣きながら、おしまは、

「こげえな家が何でえ! 畜生! 夜もねねえでかせいだんなあ何のためだ、ひとう馬鹿にしてけつかる」

オイオイと号泣して、彼女はよろける。

「糞じじいに鼻たらし嫁なぐさませるためじゃあねえぞ!」

すると、勇吉は、粗朶火を持たない左の手で、怒り猛る仁王のようにおしまにつかみかかりながら罵りかえした。

「へちゃばばあ! ええ気になりくさって、おれを何だと思う! 亭主だぞ! 憚んながらこの家の主人だ! 何、何、何をしようとおれの勝手だ。おれの働きで建てた家で、したいことしていけねえんなら、糞! 燃しちまう! ああ燃しちまうとも! 糞!」

おしまは、

「お前一人ででかしたようにほざくねえ! おめえが燃すというんならおれだって半こ半こだ! ほらよ、燃してくれべえ」

勇吉の家は、畑中で近所が少し離れている。それだからいいようなものの、火の手は次第に募る。