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いなかふうなヒューモレスク

田舎風なヒューモレスク

宮本 百合子

「写真報知」1925(大正14)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,790 字 · 16 页

青空文庫

勘助は、黙って考えていたが、はっきり勇吉の耳元で叫んだ。

「なる程、おらわるかった。折角おめえこの家焼きてえちゅうに止めだてしてわるかった。おらもじゃあ手伝ってくれべえよ」

勘助も粗朶火を手に持った。そして、消防の方に何だか合図し、穏かに、楽しそうな風体で、

「おらも助けてやるぞ、なあ勇吉どん」

と、ふすまをはずして持ち出し、土間のワラをかき集めては火をつけた。――このような見ものを村人は、村始まって見たことはなかった。何という面白そうな火つけ人! 勘助が、

「さて、次は何を焼くべえ、畳か」

といってあたりを見廻した時、いつの間にやら鎮まって、あっけにとられ、彼の所業を見守っていた勇吉が、いかにも面目なげにしおれ、小さい声で勘助にささやいた。

「もうええ」

勘助は、勇吉を眺め、やはり楽しそうにさらりといった。

「そうけ、じゃあやめべえ、おやすみなんしょ」

翌日、勇吉は、麦粉をもって勘助のところへ行った。

「はあ、何ともはあ……どうぞお前から皆によろしくいってくんさんしょ、いずれ何とかする気では居んが」

「そりゃ構うめえが……何だね……おれあたまげたぞ全く、どうなるかと思ったて。