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こうしゅうちんぶたい

甲州鎮撫隊

国枝 史郎

「講談倶楽部」1938(昭和13)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,891 字 · 28 页

青空文庫

……お力、総司は俺が今夜斬るぜ!」

と、佐幕方の、目明文吉に対抗させるため、長州藩が利用している目明の、縄手の嘉十郎は云って、植甚の方へ歩きかけた。

女夜叉の本性

(この男ならやりかねない)

こう思ったお力は、嘉十郎の袂を掴んだ。

(剣技にかけちゃア、新選組一だといわれている沖田さんだけれど、あの病気で衰弱している体で、嘉十郎に斬りかけられては敵う筈はない。……総司さんを討たれてなるものか!……いっそ妾が此奴を!)

と、肚を決め、

「嘉十郎さん、まア待っておくれ、お前が然うまで云うなら妾も決心して、今夜沖田さんの息の音とめるよ。……お前さんにしてからが然うじゃアないか、あの晩、二人でここへ来てさ、通りかかった脱走武士たちへ喧嘩を売りつけ、一人を叩っ斬ったのを見て、妾は植甚の庭へ駆込み、喧嘩の側杖から避けたと云って、沖田さんに隠匿われ、そいつを縁に沖田さんへ接近いたのも、お前と最初からの相談ずく、そこ迄二人で仕組んで来たものを、今になってお前さんに沖田さんを殺され、功を奪われたんじゃア、妾にしては立瀬が無く、お前さんにしたって、後口が悪かろう。……ねえ、沖田さんを仕止めるの、妾に譲っておくれよ。