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かんとうぼうくうだいえんしゅうをわらう

畜生道の地球

桐生 悠々

桐生悠々『畜生道の地球』。同一底本的分册已合并为一书。收入:関東防空大演習を嗤う、正義の国と人生、科学的新聞記者、煎じ詰めれば。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,894 字 · 20 页

青空文庫

「俺は今日まで辛い辛い思をして、忍んで来たが、それは畢竟正義の国があるということを信じたからだ」。それがないということなら生きている甲斐がないと、腹が立って、腹が立って、「このごろつき、学者が聞いて呆れる、こん畜生」と怒鳴って、学者を殴りつけ、そして家へ帰って、首を縊って死んでしまった。

この男も、この学者も、共にこの「正義の国」が今空間的に、地球上に存在していないことを知っていないのだ。だが、「正義の国」は時間的に何時かは地球上に存在しよう。私たちは、これを信ずる。これを信じないならば、私たちはこの男と同様、生きては行かれない。仮すに時日を以てせよである。だが、この時日は長い長い時日である。幾億年という、無論天文学的数字の時日でもあるだろう。余りにも長い時日だから、これを待つと言っても、衆生は、即ち民衆は待ち切れるものでない。だから、釈迦は阿弥陀経に於て、これを空間的に説明して「従是西方十万億仏土有世界名曰極楽」と言ったのである。

「正義の国」は一名「極楽」であるのだろう。そしてまたキリスト教にいうところ「天堂」でもあるのだろう。

原始的の宗教はこの極楽または天堂を来世に、人の死後に存在するものと信じていた。