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いせいのあいだのゆうじょう
異性の間の友情
宮本 百合子
「婦人公論」1939(昭和14)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,812 字 · 14 页
女の日常に嫉妬や反目がないといえば、それはうそになろう。
それにもかかわらず、なお女同士の間には次第に社会的な基礎での友情がえられて来ているし、その質もおいおいたかめられ、それを評価し尊重することも学んで来ているのは、どういうわけだろう。そして、そういう成長のあとは、家庭にこもって、親や良人の翼のかげをうけている婦人たちより、ともかく職業をもって社会の波浪をうけている女のひとたちの感情のうちに、顕著であるというのは、注目されてよい事実だと思う。社会的な勤労に結ばれている女は、女同士のいやさもきつく感じている半面で、女同士の友情を営む可能をはぐくまれている。自分たち女というもののこの社会でのありようというものが、働いている女にはまざまざとした分りかたで分って来る。生きて行く場面で互が苦しく競り合うものとして現れているとすれば、今日目の前にそういう現象を持ち来している社会的な動機への洞察がいつかよびさまされずにいない。女としての境遇に処するということのうちに、おのずからその境遇に向う自身の態度というものが加わって来て、その積極な自覚は、新しく見開かれた眼差しで、ぐるりの女同士の暮しぶりを見直させるであろう。